川干し

楽しいこと

夏の川遊びの一つに“川干し”という遊びがあった

川はいくつかの流れの川筋を持っているが 

片方の川筋の入り口を石で積み上げ さらに 隙間に草などをつめ

その上にビニールを上から被せることにより 水の流れを完全に堰き止める

水の干上がった川筋で 跳ねている魚や 

石の隙間や小石の下にいる魚たちを素手で捕まえる

これが川干しによる魚取りの方法だった

小さいころ どこの家でも親たちは等しく多忙であり

子供を育て生活していくためには 朝の暗い内から夕方暗くなるまで

農作業に励まなければならなかった

そんな親たちが 常時子供達を見守ることができるはずもなく 

この遊びはもっぱら5・6年生の年長者がリーダーとなった

川干しは小学生の子供たちだけで行われ 

毎回集まるのは10人前後だったが 不思議と統率が取れていて 

上級生を中心とした見守りがあり 事故などが起こることもなかったし

年齢や身体に応じきちんと役割が決められていた

また取れた魚は 上級生が下の子たちにも分け隔てなく上手に分け与えてくれ

単なる一つの遊びではあったが自然と社会のルールを学んだ気がする

当時 周りは大抵の家が農家であり 

家系の担い手である親たちは誰もが必死になって働き 

それでもようやく生活が成り立つくらいの状況であったように記憶している

あんなに働きずめに働いていてもあの程度の生活だったのかと 

今では少し理不尽にさえ思うのだが その頃は嘆くこともなくそれが普通のことだった


子供たちも そんな親たちに迷惑をかけまいと 

健康で元気でいることが大事だと心得て毎日を送っていたように思う

情報も少なく 世の中の一般的な生活水準がどの程度であったのかを知ることもできないが

誰もが同じくらいの水準で暮らしていた 

どこをみてもハイカラな家はなく 子供たちに気の利いたおやつもなければ 

継ぎの当たったズボンや服も当たり前であり 衣食住どれをとっても豊かではなかったが 

決して不幸ではなかった

元気に学校に通い 終われば野山を駆け回り 

時には家族とともに農作業にも精を出すという 

仲睦まじい当たり前の幸せがその時代にはあったように思う

夏の川干しという遊びを思い出し ふと昔の生活状況を思い起こし 

懐かしい風景がよみがえった

では、

エンジョイ! 少年時代

楽しいこと
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