この頃 長野県が舞台となった小説の中に 突然だが「すいこ」が出てきた 「すいこ」は
酸葉(すいば)のことでタデ科の多年草だそうで 田んぼの畦や土手によく自生している
子供の頃 学校の帰り道などで皆んなでスイコを取っては皮を剥きかじっていた
別にそれで空腹が満たされるわけではないが 口寂しさを紛らすためか 酸っぱい味を
吸っては食べそして吐き出していた 小説にいきなり登場の「すいこ」には驚いたが
ヘ~こんな草を知っている作家もいるんだと感心したのと同時に しかもこの作家が
昭和54年生まれの女性だということを知り なおさら驚いた 小説はそっちのけで
そういえばと思い この「すいこ」に関連し やはり幼い頃から自生するもうひとつの
草のことを思い出した その草の枝と葉を少し余裕を持たせて切り それを持って
葉っぱの部分を壁や石などの硬いところにぶつけたり 叩いたりすると スイカの匂いがする草だ
なぜか少し薄くて 青臭い香りがして なるほどスイカの香りに近いような気がしたものだ
もちろん スイカを食べれば スイカの香りというものは あるにはあるのだが
あまり強い香りでもないので なんで わざわざそんな言い方をするのか 不思議には思っていた
こんな言い伝えはこの田舎だけかと思って調べてみると この草の正式名称は
「ワレモコウ」というのだそうで なんでも 葉っぱを傷つけると スイカの香りがすると
ちゃんとネットにも出ていて これまたびっくりだった
幼い頃の記憶をもうひとつ 長野県佐久地域では 桑の実のことを「めど」と言う
初夏のこの時期には 畑や道端の桑の木にはたくさんの紫の実が生っていて 甘くて
それでいて聞けば栄養価も高いのだそうだ 当時はどこの家もそれほど生活は豊かではなく
甘い物やおやつさえも用意してある家も少なかったことから 食べるときには一つや二つを
つまむのではなく 皆んな頬張るようにして食べていた 「めど」はなぜか色素が強く
手で取るとたちまちその手は紫に染まり 服につけようものなら 色落ちしないために
よく怒られたものだ 生活に豊かさを感じられるようになった昨今では 多くの家庭の庭に
今でもある「柿」や「スグリ」「ぐみ」などにはあまり興味を示さなくなった
自分たちより少々年代が下がると たぶん知ってはいても進んで口にする事はおそらくないのだろう
そんな幼い頃の懐かしい思い出だが 甘いような 甘酸っぱいような記憶が不思議と
最近思い出されるのは 歳を取った証拠だろうか?
では、
エンジョイ! 幼い記憶
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