「まてー」に暮らすということ

暮らしの中で

人生の大半である40年以上を 会社員として過ごした

そのせいか 農業とは無縁かと言えばそうでもない

幼い頃は 学校から帰ると 

飼っていたウサギの餌となるハコベなどの草を取りに行ったり

ヤギの乳搾り 家畜の餌くれなどを 淡々と毎日の日課としてやっていた

日曜日には 朝から野菜の出荷を手伝い 春夏の農繁休暇には 田植えと稲刈りを

夏休みなどには蚕の桑くれ かまどでのご飯炊き等々

何のためらいもなく 普通にやっていた記憶がある

農家に生まれ 思えば 貧しい時代だった

だが 家族で協力しあい 親も子も出来ることをそれぞれがやり

決して不幸ではなかった気がしている

穴の空いたズボンにも いくつもつぎはぎがあり

田んぼで稲作りの他には 春・夏・秋には蚕を飼い

蚕室や長屋ばかりでなく 生活圏の座敷さえも畳を全部あげて 蚕を飼っていた

蚕というのは幼虫の頃からずっと桑の葉を食べ続け

1ヶ月くらいすると 桑の葉を食べなくなって 糸を吐いて繭を作り始める

そうなると 蚕を別の場所の輿に移して繭をつくらせないといけなくなる

そのため 一斉に蚕を拾い上げなければならなくなる

そのタイミングは 昼夜を問わないから

夜中であっても一家が総出で短時間でやらなくてはならなくなり

子どもとて夜中に起こされては 大人と同じ作業をさせられた

そんな記憶が今でも鮮明に残っている

ここ佐久地方には「まてーに暮らす」という方言がある

家事や生活にまつわる一つひとつに手間や時間をかけて

丁寧に向き合う暮らしのことを言うのだが

まさに その暮らしぶりは 「まてー」であり

そういった暮らしを通して 自分や家族を大切にし

心豊かに過ごしてきたのだと思うと 今でも 感慨深い

では、

エンジョイ 「まてー」な暮らし

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