「あ~ 今年は さび~ さび~ ふんとに さび~もんだない」
な~んて道端で交わしていた“おらほ語”
最近では「えれ~ のふとくなって来たじゃね~かい」と
今度はこれが 朝の散歩道での定番の挨拶になった
この会話をかしこまった標準語で 「あー 今年は 寒い 寒い 本当に寒いもんだね」
「だいぶ 暖かくなってきたよねえ」などと言い合っていても
寒さも暖かさも それどころか住人同士のその親密さも伝わってこない
日中の気温が10°を超えて2桁の日が続くようになり
日に日に春の陽ざしを感じるようになってくると 気分も良くなるせいか
山里の住人たちの会話も次第に増えてくる
「急に のふとくなりやがるから りんごはボケるし
つけもんもすっぺくなって いけね~やない」
「で~ぶ しみてたもんも こうふきだしたわな~ へ~ そんねん うんまくね~わな」
「こっから 百姓も せえて やだいない」
「ふんと ふんと そんじゃ~ おかせぎなんし あちゃ ごめんなんし」
言い換えると 「急に暖かくなるものだから りんごはサクサクしなくなるし
漬物も酸っぱくなって いけないね」
「長い間 寒くて凍っていたものも カビが生え出したしね もう 食べてもおいしくないね」
「これからお百姓も忙しくなって いやだね」
「本当に 本当に それでは仕事に精を出してくださいね じゃあ ごめんください」となる
その昔は 恥ずかしくて使うことさえなかったこの”おらほ語”だが
いつからか 今は山里の そして自分自身の標準語になった
では、
エンジョイ! おらほ語
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