老親のこと

暮らしの中で

 

この春 コロナ禍での長い闘病生活の末 母親は逝ってしまったが

「俺はもう少し元気でいねえとな」と父親がポツリ

亡くなってしばらくの間 母親の遺影に向かって話しかける姿は

連れ合いを亡くしたなんとも言えぬ寂しさを感じさせたが

ようやく元気を取り戻してきたようだ

今年で96歳

趣味はゲートボール 野菜作りの農業はまだまだ現役だ

鍬がらを持って畑を耕しても1mも進めば その場で腰を下ろす

散歩に行っても途中で ガードレールやお宮の階段に腰を下ろしたり

時には土手に寝転がって休みながらも 近所を一周してくる

草取りは地面に尻をつけ 座り込んだままだが 少しづつ前へ先へと進んでいく

庭の植木の手入れなども 上手に脚立に乗り

じゃまな枝を少しづつ切り落としては その形を整えていく

いつかはこんな日が来るだろうと思ってはいたが

先に妻が逝き  自分が残されるとは思いもよらなかったようだ

だんだんと身の回りのことに手を出してやらないと ダメな状況が増えてきてはいるが

それでも気丈で 若いわれわれ夫婦に迷惑をかけないように

何かもっと役に立てることはないかと考えながら行動する姿には

少々心配だが その心根が十分伝わってくる

洗濯だけは自分でやれるようにと 亡くなった母親から教わったらしく

下着などの主だった洗濯物は今でも自分でやっている

食べ終わった食器も台所の入り口まで 必ず運んで持ってくる

剪定され 地べたに落とされた植木もそのままでいい

時折 的をはずすトイレも気にすることはない

どうかゆっくりでいい まだまだ生かされた人生を穏やかに

そして好きなように生き抜いてほしい

日々のその姿を見守りつつ  妻とそう願う今日この頃だ

では、

エンジョイ! 穏やかなその人生

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