だいぶ前の話なのだが、本で読んだいい話
台風の夜 タクシー乗り場には 長蛇の列ができていた その列に並んでいたDさん
とても疲れていて 早く家に帰ってお風呂に入ることばかりを考えていたそうだ
彼の前には杖をついたお年寄り 2時間待って ようやく前のお年寄りの順番となり
そこにタクシーがやってきた
と 突然 そのお年寄りが後ろを振り向いて言った 「どうぞ、お先にお乗りください」
お年寄りが声をかけたのは Dさんにではなく Dさんの次に並んでいた若い女性
見れば その女性は赤ちゃんを抱いているではないか
いくら疲れていたとはいえ 2時間も並んでいたのに すぐ後ろにどんな人がいるのか
全く気がつかなかったとは・・・と少し恥ずかしくなるDさん
お年寄りに声をかけられた女性は驚きながらも お年寄りとDさんの両方にお礼を言って
タクシーに乗って去っていった お礼を言われて 余計に恥ずかしくなったDさん
しかしこの後 お年寄りはさらにカッコいい行動に出る 何とこのお年寄り ごく自然に
Dさんの後ろに回ろうとするではないか
確かに お年寄りは自分の判断で Dさんを飛ばして タクシーの順番を女性にゆずった
つまり 「次に来るタクシー」に乗る権利を持っているのはDさんだと考えたのだろう
だから 「当然のこととして」Dさんの後ろに並び直そうとしたのだ
狼狽しつつ 「いえいえ ど どうぞ 次 乗ってください」とお年寄りを止めるDさん
結局 お年寄りは 軽く会釈をし 次に来たタクシーに乗って行ったという
そのタクシーを見送りながら Dさんはこう考えたそうだ
「あのお年寄りは 自分よりも弱いものを思いやり しかも 自分に対しては当然のように
『筋』を通そうとした と それに引き替え 自分の方は 帰宅後のお風呂のことで頭がいっぱいだった
自分は・・・負けた」と
どんな時にも余裕があって 自然に周りへの気遣いができている人はいるものだ
我々も歳を経て色々な体験もしてきているが まだまだ未熟だ だからこそ
「弱いもの」への本当の心づかいができるシニアになろうと 実感させられた話だった
カッコいいシニアを目指そう
では、
エンジョイ! 優しい社会
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